摩耶

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Tokiwaさんと半年ぶりの山行。摩耶山旧天上寺周辺の巨木とマザーツリーを巡る。


旧摩耶の大杉に来た。ここまで見てきたのは大きくて5m越え、4m級がほとんど。それに比べると圧倒的な存在感。威圧感さえ感じる。

ちょっと長くなるけど、昭和40年発行「神戸の名木(神戸緑化協会/兵庫新聞社)」によれば

摩耶山天上寺の境内にある杉林は白昼でもうす暗い。じめじめした枯れ草や落ち葉を踏んで歩くと、ブスブスと足がめりこむ。林を吹き抜ける風が、谷間からしめっぽい霊気をあたり一面にまき散らし、ざわざわとこずえを鳴らす。行楽がシーズンオフになると、人の気配はまったくない。なんともいえない気味悪さが先に立って、つい逃げ出したくなるほどだ。
そのうす暗い林の中に、どっかと立ちはだかるおばけのような巨木、それがこの大杉である。ひと目見て、「さすがは名木」と感心するより、圧倒されてしまう。威圧感に全身の打たれる感じがする。異様な霊感があたり一面ただよっているからだ。古びた幹のところどころにぽっかり黒い口をあけている無数のアナ。そばに寄ると、すーっとその黒いアナの中にひきずりこまれてしまいそうな幻惑にかられる。どっかと大地に根を張る巨木の力感はみごとだ。ふとい根は枯れ草や、落ち葉の堆積した大地にしっかり食い入っている。ふとりにふとった幹、回りは8メートルもある。オトナが4人「うーん」と両手を広げても、かかえきれるかどうか。樹齢は1000年という。文句なしに名木の中でも横綱クラスであろう。

およそ200年前のこと、摩耶山一帯は大水害に見舞われた。この大洪水で杉林は根こそぎやられ、見る影もなく、無残に押し流されてしまった。ところが、そのとき5本の杉だけが奇跡的に生き残った。その5本のうち、いちばん大きく、たくましかったのが、この大杉だった。大水害にもビクともしなかった根強い生命力に、人びとはびっくりした。この木には神霊が宿っているに違いないと考えた。そして“大杉大明神”としてあがめた。
奇跡、超自然の生命力を神の力と人びとは信じこんだのである。

こんな伝説もある。しんしんと雪の降る真夜中のうしみつどきに、白衣の女がばさばさに振り乱した髪にローソクを3本立て、のろいの言葉をとなえながら、幹にワラ人形をキーン、キーンと打ちつけたという。おそらく裏切られた男へののろいでもあったのだろう。そのうす気味悪い白衣の姿には、天上寺のやんちゃな小僧だちも思わずキモも冷やした。幹のところどころに黒いアナをのこしているのは、このワラ人形を打ちつけた跡で、そののろいの古傷でもある。
足を踏み入れたとたんに、思わずぞっとする冷やかな霊感は、こののろいのせいでもあろうか。

 赤い鳥居と二つのホコラにかこまれ、力士のまわしのようにふとい3本のシメナワで飾られた大杉は、“大杉大明神”としての風格と貫禄がすっかり板についた。いつまでも“大杉さん”を信仰する人は絶えない。深夜、この木の前で祈願すると、白蛇の精が白髪の老人に姿をかえて現われ、願いごとをかなえてくれるとか。摩耶山へ登った人はこの大杉に参らねば功徳がないといわれるほどである。
幹の回り8メートルという幹のふとさと1000年にわたる樹齢の古さ、もちろん六甲山系の杉としては最大、最古である。この大杉は天上寺創建のころ(大同年間806年)に植えられたものと推定される。元来、六甲山には杉が少なく、ふとい杉はほとんどない。摩耶山にしても、そのほかの杉林は大水害のあと天上寺で植樹したもので、大水害のときに残った5本の杉のうち3本はすでに姿を消し、いま残っておるのはこの大杉と山頂の2本だけとなった。
1000年の風雪に耐え、移り変わる歴史の変遷をじっとみつめてきたこの老木の心境は、どのようなものであろうか。
その神秘的な生い立ちや伝説などを思いめぐらして、つくづく眺めていると、なにか哀感のようなものが胸にせまってくる。生きながらえていることに対する無常観でもあろうか。大杉はただだまって、立ちはだかっているだけである。

これによると、昭和40年=1965年から約200年前に大規模な水害があったようす。六甲砂防事務所の六甲山の災害史をみるもそれがどの水害を指すのかは不明。どうあれ、その時に摩耶山の杉林の大半は流されて、残ったのは5本。その内3本は姿を消して、残ったのは2本となる。幹周5m以下の杉の巨木はここ200年のものだろうと思われる。


のろいの話はさておき、幹は空洞になっている。火事さえなければ…と本当に思う。それが自然のものならばまだ良いんだけどさ。切ない。


改めて見上げる。六甲山のマザーツリーはやはりこれ以外はない。Muscle的にはそれ以外は巨木ということにしておく。いや、しかし…その水害を免れたという山頂付近にあるというもう一本の杉も候補か。さてこのあとは史跡公園の西側を見ていく。

史跡公園の西側、石垣の下には立派なスギや枝ぶりの良い巨木がある。1枚目は「巨大杉」と呼ばれているものかと思う。2枚目は焼けた杉、3枚目は葉っぱの感じからイチョウかなと思う。すらっと伸びている4枚目のスギは現在「摩耶の大杉」とされているようだ。間違っていたらご指摘ください。


その他、三又の杉もある。これは史跡公園を歩いた方なら誰しも通過する場所。


三又の杉は「3本立の大杉」と呼ばれているようだ。しかし1本1本は細い。やはり1本でどかっとしているのが個人的には好ましい。


史跡公園西側の探索を終えて、一旦尾根コースに入っていく。少し進んで道が曲がる地点から小さな尾根を下っていく。


そこにも巨木がある。さて斜面を登り返して尾根コースに戻り、森林浴コース(上野道最終)に戻って掬星台へ。

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