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(更新日: 2021.06.8) , , 10

伊能中図 中部近畿にある「鼻高山」は六甲山系のどこなのか。重ねて比較し、場所を特定する。

単身赴任で東京へ来て2か月弱。勤め先は港区芝。慶応仲通りが目と鼻の先で楽しめそうなんだけれど…蔓延防止措置からの緊急事態宣言でひとっっっっつも楽しくない毎日を送っている。ホテル暮らしで行って帰るだけの日々。
週末はすることも少ないので、街中を10km程度散歩する他はホテルに篭もってネットばかり…色白になってきてすっかりインドア派。
ブログ更新も放置状態になっていて「これではいけない」と久しぶりに更新することにした。

今回のブログ記事作成のきっかけは、新幹線から高輪ゲートウェイ駅の周辺を見ていて「なんだかいつも工事してるのね、なんなんでしょ?」とネットで色々見る中で、高輪築堤跡が発見されたことを知ったことから。
Wikipediaより引用すると…

高輪築堤の工事は1870年に着工し両側は石垣、船が通る箇所4か所には水路が作られた。なお、高輪築堤は明治末期から昭和初期にかけて付近の埋め立てが進んだため正確な位置が分からなくなっていたが、2019年の高輪ゲートウェイ駅西周辺の再開発の際に約1.3kmにわたって遺構が発見された。

昭和初期にあったものの位置がわからなくなったってねぇ…「ほんの少し前のことじゃん、どうなってんの?」と思う。
関係ないけれど、神戸市に問い合わせする中でも30年前のことがもうわからなくなっていたりするから、まぁそんなものなのかなとも思う。
要するに大した価値を見出していなかったんだろう。
いやでも昔の地図に何かしら載ってるんじゃないの?ってことで、ネットで見ることができる古い地図を漁っていたところ、伊能図まで遡ってしまったわけ(当然関係ない時代なんだけど)。ついでに摂津国も見ておくか、と。


そこで伊能中図 中部近畿。国土地理院の「古地図コレクション」で色々見ることができるものの中の1つで、気になる山の名前があったのだった。それが「鼻高山」。
そんな名前の山が六甲山にあるとは聞いたことはないし、ネットで検索しても「鼻高山(はなたかせん)」という島根県の山があるくらい。このブログで紹介している六甲_摩耶_再度山路圖にもその名前はない。

地理院地図と伊能中図を重ねてみると、おおよそ今の天狗岩(天狗岩南尾根の天狗岩)あたりになりそうだ。なるほど鼻高天狗ということなら鼻高山という名前がかつてあったのかもね。
というわけで、結論は天狗岩があるあたりを鼻高山と呼んでいた時期(あるいは人たち)があったんだろうと思う。そんな名前も歴史に埋もれていく。要するに大した価値はないんだろうね。


ところで、六甲_摩耶_再度山路圖の天狗岩がある当該箇所に「大郵谷山」(「郵」の字は判別し辛く見た目で判断)の名前が見られる。石仏谷という地名があったらしいけど、「佛」にも見えないなぁ。とりあえず石仏谷の特定はまたいつか(※Tokiwaさん情報より「大郎谷山」と「重箱岩」でした。ちなみに石仏谷という地名はかつてあったそうです※芦屋のとは別で)。
それにしても調べようにも手がかりがなく、漢字が合ってるのかすらわからない。また1つ課題が増えてしまった。

参考記事
高輪築堤に関する東京新聞の記事
東京都港区の築堤に関する記事

コメントからの追加情報
isorokuさんより
住吉歴史資料館だより
住吉村誌
kickeyさんより
「六甲岩石大事典 第1部3章 六甲西部・摩耶以西」

【近況報告】三森谷から再度山への散歩道+体のことと転勤と。前のページ

本御影石 山帳場(採石場・石切場)跡探訪。荒神山 四等三角も合わせて確認。次のページ

コメント

    • kickey
    • 2021年 6月 08日

    MuscleTurtleさん、こんばんは。

    東京への単身赴任、お疲れさまです。ホテル缶詰はきついですね。
    早くコロナ禍が落ち着いて、気軽に近郊のお山に出かけられる日が来ることを願っています。

    ブログの話題に関連して、ネット上に重箱岩(柱状の巨岩)の写真を見つけました。
    また、「太郎谷山(標高764m)」の記載もありました。岩に着眼して、六甲山を考察するのも面白いですね。
    ご参考までに。

    「六甲岩石大事典 第1部3章 六甲西部・摩耶以西」
    https://yamauo1945.sakura.ne.jp/13west.html

    • kickeyさん! こんばんは!

      コメントいただきありがとうございます。
      このサイトは何度となく…というか今日も見ていたのに…。
      駄目ですね。完全にスルーしていました。
      説明板にもあるとのことで、もっとしっかりと色々と目配せしながら歩かないと、
      と反省しきりです。
      この中で次回、あるいはその次に行こうと思っている場所もあります。
      もしお気づきがあったらお気軽にコメントいただければと思います。

      近郊の山もそうですが、kickeyさんのように豪快な、あるいは長大な、
      そして色々と出会いがあって、花々も楽しむ。
      そうした山歩きもいつかしてみたいと…(お気に入りが溜まりすぎ…)
      しかしそんな底知れない体力も知識もないので、鍛錬が必要ですね。

      当該の岩は改めて見に行こうと思います。

    • kurokuwa
    • 2021年 5月 25日

    MuscleTurtleさん、ご無沙汰しております。

    判読不能の文字の手掛かりを、海外の古地図に求めて思案し再びこのブログ戻ってきたら、すでにtokiwaさんやisorokuさんからの回答が書き込まれていて、その見識の深さに脱帽しました。
    やはり、にわか者では両氏の足元にも及びませんね。

    また、宿題が投下されるのを心待ちにしております。

    ホテル暮らしは、精神衛生上もきついと思います。くれぐれもご自愛ください!

    • kurokuwaさん 築地のビジホからこんばんは!

      海外の古地図が気になる!

      もう本当に、いつも皆さんに教えていただいてばかりで情けなく思います。
      と、同時に非常にありがたいことでして。
      「実はこうだよ」とか「それ違うよ」という声をいただきたい、という望んでいた形です。
      とはいえ、いつも甘えてばかりは居られませんので、もう少し下準備をしないといけませんね。
      宿題投下のネタはまだまだある感じで、少しずつ消化していければと思います。

      それはさておき木ノ袋の大滝、いい感じでしたね。
      雨後の谷筋歩きたいなぁ。うらやましく眺めております。

  1. MuscleTurtleさん、こんばんは。
    ご無沙汰しております。

    東京ホテル暮らしも大変のようですね。

    六甲の歴史考察はやはり私には垂涎ものです。
    伊能図ですか、そこまでは思いつきませんでした。

    六甲_摩耶_再度山路図の名称の件ですが、
    所有の山路図を確認してみたところ
    おそらく「大郎谷山」「重箱岩」だと思います。
    この名前だったとしても私は初めて聞く名前です。

    まだまだ山路図も読み込まないとダメですね。

    また、面白いネタの投下よろしくお願いします。

    • Tokiwaさん こんばんは!

      重箱岩はさておき、大郎谷山ですか! 謎な名前ですね…ますます謎が深まりますね。
      なんなんでしょうか、その名前は。大郎谷なんていう谷なり地名があったってことになりますよね。
      山路図、コピーしたものは小さい文字が見えないこともあって難儀します。
      森林植物園の拡大版の写真画像の方が良さそうですね。
      たしかTokiwaさんは撮っていらっしゃったような。私も行って撮るべきでしょうか。
      そんな時間もあまりなくてやきもきしています。

      布引久形橋の記録など、こちらもいつも楽しみにしています!

    • isoroku
    • 2021年 5月 21日

    コロナ禍での東京単身赴任のご苦労をお察しいたします。久しぶりの更新を嬉しく思います。さて鼻高山の件ですが、間違いであれば申し訳ありません、旧武庫郡「住吉村誌」に記述があり、また「住吉歴史資料館だより」にも考察が掲載されています。一度検索されてみてください。

    • isorokuさん こんばんは!

      なんとまぁ…ドビワリか何かで前に調べた記憶がありますが、すっかり忘れ今更ながらその存在を思い出しました。
      知らぬは己のみ…。しかし予想と同じということで少し安心した次第です。
      浅い知見、行き当りばったりは駄目ですね…。

      住吉村誌含めてじっくり読んでいこうと思います。
      週末にもってこいの情報ありがとうございます!

        • isoroku
        • 2021年 5月 21日

        旧住吉村の古老も知らない、とのことですから、「知らぬは己のみ」ということは大丈夫でしょう。私もたまたま亡き祖母が帰依していた奈良のお寺の山号が「鼻高山」で、変わった名前が住吉にもあったのかと史料が記憶に残っていたのに過ぎません。Muscleさんが伊能地図から見出したことのほうがすごいですよ。

        • なるほど、そうした事情からでしたか。
          奈良にも同じように名前があったとか。またまた課題ができました!

          それでいうと「霊験あらたか」だったというこの山ももう少しこう…何かしらが残っていてもいいのになぁ。
          昔も今もブーム、流行から外れたら消えていってしまうんですね。

          少なくともこうしてisorokuさんから情報をいただいて、今回記録を残せて良かったです。

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