須磨・長田・兵庫

(更新日: 2023.09.29) , , 12

天王谷インターチェンジ東西の尾根。梅元西尾根を経て天王谷IC、IC西の破線道から220mP、湊山谷廃屋群を巡って天王橋まで。

2018年11月24日 土曜日。今日は先々週行きそびれてしまった天王谷ICから西の尾根を歩いてみたいと思う。ついでにこれまで歩いていない破線道も潰しておくことにした。そしてさらに気になる廃屋群もあるのでその確認も含めた山歩きにする。少々ごった煮感があるんだけど、ぜひお付き合いください。※今回はそれぞれ趣旨が異なるので改ページではなく、お題を分けてみました。

五宮神社から天王谷IC分岐まで


13:40 神戸バス7系統「五宮町」で下車する。福原京コースなるものはいつか歩くとして…横断歩道の先、写真にある電信柱と看板の間の路地=五宮町を北進。


道なりに進んでいくと祥福寺の石階段が目に入る。祥福寺の詳細についてはWikipediaに任せるとして、右へ曲がり細い路地を東へ進む。


五の宮サンクレバーというマンションを過ぎると可愛らしい標識がある。五宮神社方面へ進む。


五宮神社の縁起などについては再びWikipediaに任せるとして、神社の東の脇を抜けて路地を北へ進む。祥福寺が立派すぎて比べると五宮神社は寂しい。


路地を進むとすぐに山への取り付きになる。ここらあたりは菊水山の前衛にあたる部分でまだまだ歩けていないエリア。今日はその一つを潰すべくまずは写真中央の扉状のところから山に入ることにした。※特に禁止等の案内は見られない。

すぐにある谷筋をまたいで西へ踏み跡があるんだけど、進んでみても祥福寺の敷地のフェンスに阻まれるのみだった。


扉状からすぐの谷筋に戻ってきた。ここには階段がありその先には谷止工、その天端には橋があるようす。この辺りは3年前に下ってきた場所だけどまったく記憶にない。


周辺を確認しつつ、谷止工の左岸袖に来た。対岸には階段があるようなのでとりあえずそちらへ行くことにする。


階段のそばには巨大なクスノキとノラジュロが数本。なかなか異様な雰囲気だ。


ここら辺りはどうも建物があったようで平たい場所がいくつか見られた。写真奥に映る稜線へ向けて適当に斜面を登っていく。


尾根の上にはこうした石垣があって、衣類と思われる繊維のゴミがいくつか。人の営みがあったんだろうなぁ。


尾根に乗るとそこから先は比較的容易な尾根で、問題なく進むことができた。


三等多角点があるピークに至る。この少し先で先々週歩いた道と合流する。ここから先は先々週と同じなので適当に端折ります。


それにしても…2週違うだけで表情はこうも変わるものなのか。季節の移り変わりは楽しいね。さてこのあとは道なりに進み、T字路状で平野西尾根と合流。左へ進む。


公設の道標があるとは思えない笹藪の道を進んで「ち 58-4」の道標に来た。


側面には「天王谷ICに至る0.3km」とある。こうして見る限りはしっかりしたハイキング道があると思うでしょ?

天王谷IC分岐から天王谷IC


「ち 58-4」の道標から北西に伸びる尾根を下ってみることにする。一応事前に六甲山系アラカルートで確認しているものの…どうなることやら。


さて、道の入り際がこれ…。初見ではまず見過ごすであろう道というかなんというか…。まぁとりあえず進んでみることにする。


正面に菊水山を見据えながら下っていく。ところで菊水山の東側には崩れた斜面が見えるね。ABCテレビの「おはよう朝日です」のモニターに写っていていつも気になる箇所。


下っていくとやや平坦な場所に至る。その先は崖か?と一瞬思えるものの、まっすぐ奥に尾根が続いているようなのでそのまま下っていく。


下り途中、左手=西に目をやると天王谷ICが見える。その左奥、写真中央に見える顕著なピークがこのあと登る予定の220mP。モルタル吹付けの崖がひたすら不気味…。


進むと神戸有馬道西線四鉄塔に至る。鉄塔手前にはプラ階段があって、問題なく下れる。


鉄塔下に来た。下ってきた方向以外の三方にテープが張ってあり、道が途切れてしまったようす。あれ?どういうわけだ…。写真右手を見ると谷筋だし、左手は斜面だ。どうやら正面奥が尾根の続きのよう。


テープの先にある幹には「財産区 奥平野」と標識があった。このまま下っていくことにする。


下っていくことにしたはいいものの、とても公設の道標が示す道のようなものはなく…


下るに連れて尾根筋は不明瞭になるいつもの展開。それでも「影ができている形」を意識しながら下っていく。


下っていくと左手にコンクリ構造物が見える。尾根からは外れるわけだけど、とりあえず行ってみることにした。


コンクリ構造物の場所。そこは山麓バイパスのトンネルの真上だった。なんて場所に来てしまったんだ…。尾根に戻ろう。


尾根に戻って下るとすぐに建物が見えてくる。どうやら無事に山から出られるようだ。

出てきた場所を振り返って1枚。株式会社リードの看板がある奥から下ってきた。それにしてもこちら側には道標はないし、登山道もないわけで…あの道標には少々問題があるのではないだろうか?このあとは本日最後の課題へ。

天王谷ICから220mPまで


服山隧道は何度も車で通っているんだけど、いつもその上に走る稜線が気になっていた。神戸市情報マップの白地図にもこうして破線道がある。


さて最後の課題へ、正味後半戦。右上に天王谷ICを見ながら有馬街道の旧道を下っていく。


天王谷の取水堰堤を右に見ながらもう少し街道を下る。ところでこの堰堤、名前は未だに確認できていない。「天王谷取水堰堤」と仮にしておく。


これから登る方面を見上げる。モルタル吹付けの法面の崖…多分大丈夫なんだろうけど…行けるのかな…?


天王谷川を右下に見ながら下っていって「スピード落とせ」の標識がある地点。この右手にはコンクリ構造物があって、そこから先は比較的容易に川床へ下ることができる。


無事に天王谷川へ下ることができた。ゴミには目をつぶろう。数メートル上流へ向かう。


すぐに立派な滝に出会う。2016年8月に訪れた場所。取水パイプが気になったはずなんだけど、パイプはなくなっていた。手前を見てみるとパイプが木の幹に巻き付いていた。どうやら台風の影響で切れてしまったようだ。


先程の立ち位置から左を見るとこのような構造物。セコムが設置してあることから現役の水道局の設備のようだ。階段を使いたいものの、使うわけにもいかない。


2年前と同じく滝と設備の間にある空間を登ることにする。ボロい階段とボロいロープが垂れている。


滝の落口は長い年月を経て穿たれた岩に美しい曲線が描かれている。この形に至るまで何年かかったんだろうか。それを今こうして見ていることにうっとりしたりする。


階段はくの字で2段階になっていて、その上段に入った。正面奥が尾根の取り付きになっているようだけど、右奥にフェンスが続いている。


フェンス沿いに歩いてきて、天王谷取水堰堤を右下に見る。正面には有馬街道が走っていて、写真左に見切れているのが服山隧道だ。この左手、白地図通りにここから尾根に取り付くことにする。


登りはじめはなんてことない普通の細尾根だ。神水(こうすい)の石柱が見られる。神水がなんであるかはWikipediaに任せることにする。


だんだん怪しい感じになってくる。高所は苦手なMuscle…。


さすがにこれ歩くのやばいんじゃね?そんな感じ。


もう…まさに崖の真上だ。とはいえ、反対側はまだゆるそうな斜面になっている。さすがに危ないのでやや逃げ気味に尾根筋を登っていくことにした。


ちょっと緊張したけれど、まぁ歩こうと思えば個人的には問題なく、滑落するような場所ではなかった。


強がりながらこの先で220mPに到着。220mPはこれから下る尾根を過ぎた地点にあるので、やや戻り、天王谷西尾根を下ることにする。

220mPから湊山谷廃屋群


さぁ、最終の課題。というか思いつきの展開。ここまで来たなら場所は近いので湊山谷の廃屋を確認しに行くことにした。2017年1月に歩いたときに残していた課題


天王谷西尾根もあまり良い道ではなく、廃道になりつつある。そもそも兵庫区の裏山(鍋蓋山、菊水山前衛)ってハイカーには見向きされない存在だししようがないね。六甲山系では西宮市塩瀬町あたりと双璧をなす地味な存在。


鞍部から適当に当てをつけて右手に下ることにする。


藪をかき分けて下るとすぐに竹林が現れる。人の手入れがなくなって20年は経っていそうな…そんな感じ。


さらに下るとお目当てと言ったら失礼にあたるけど廃屋が現れた。


もう朽ちているだろうと思っていたんだけど、想像以上に原型を留めていた。


てっきり1軒かと思っていたらそのほかにもいくつか廃屋が。


冷蔵庫のようすを見る限りは比較的近代まで人の営みがあったようす。なかなか大きな建物だ。


一角にはこのような20cm程度の立像。一瞬右手に剣を持っているしお不動さんかな?と思ったけど、なんだか烏天狗にも見える(※isorokuさんコメントより「鍾馗さん」ですね)。こうした源頭付近にある小さな集落にもなにかしら信仰の対象があったんだなぁ。


廃集落をあとにして、荒れた谷道を下ることにする。


湊山谷と交差する手前にはひどくゴミが散乱している場所がある。谷には橋が架かっている。


橋を渡って振り返る。以前来たときにも思ったんだけど、ここには一際大きな住居があったのだと思う。下ってきたのは写真右奥の谷筋。ちなにみ湊山谷本流の先=写真左の先にはまだ廃屋がある。


湊山谷の谷沿いの道を下るとすぐに崩れた場所があった。以前はなかったと思うので、今年の台風の影響だろうと思う。電線が切れてしまっている。とはいえ、もう用無しなんだろう。


さらに下っていく。もともと豊国稲荷神社があったあたり、道がきれいになっている。どなたか清掃されたようす。ここから先はきれいさっぱり土、枯葉の類は取り払われていた。


道なりに下って天王橋。兵庫区の裏山は色々あって個人的には興味深い場所だということを再認識。崖の尾根には少々怯んだものの…、もう少しこのエリアを探索してみようと思う。

今日歩いた軌跡

紅葉狩に二本松林道から再度公園修法ヶ池まで歩いてみるが。前のページ

両親の金婚式で飛騨高山。1泊2日の小旅行で奥飛騨温泉郷 福地温泉「湯元 長座」を堪能。2日目は新穂高ロープウェイ。次のページ

コメント

    • あーちゃま
    • 2018年 12月 07日

    今晩は

    また登られたんですね楽しみに拝見しました

    今回発見された立像のそばの家は叔母が最後に建て

    た家かと思います、立像は思いあたりませんが

    叔母の旦那さんが船乗りだったので何処かで手に入れたのかも?

    それと地元民て方の投稿を見て驚きでした

    豊国稲荷のそばの家の人と同級生ですって…

    私の家は立像があった所で、豊国稲荷のそばの家の人と同級生なんですよ

    何か懐かしくて、山もみんな廃棄になって残念ですが写真見せて頂き有り難うございます

    又色々な写真楽しみにしてます。

    • あーちゃまさん こんばんは!

      まさか同級生でいらしたとは…驚きです。
      世間は狭いものですね。
      あと少しだけお邪魔するかも知れませんが、いい加減にしておきます。

    • 地元民
    • 2018年 11月 26日

    こんばんわ。ちょっと最近判ったことがあります。

    私が小学生の頃、平野展望公園のところにちょっとした旅館のような大きな建物がありました。その大きな建物は田村という資産家の家だったそうです。
    そして湊山谷の東側から天王川にかけての山一帯は、その田村という資産家の山だったそうです。ただ現在は平野展望公園が出来た時に、大倉山のように市に寄付したのかもしれません。
    谷の入り口に落差のある滝がありますが、どうやら田村の崖というらしく、私の小学校では危ないから行っては行けないと言われてたところです。もっとも当時は行っては行けない言われてもどこのことか知りませんでしたが。

    前に、谷の元住民の方に出会った時、
    「人が通らないとすぐ道は荒れる」
    とおっしゃってたんで道をきれいに掃除したのは、その時の元住民の方かも知れませんね。それと私の同級生の家があった場所が、そのきれいになった上り坂の横の所です。自治会の人に聞くと豊国稲荷を取り壊す時に一緒に取り壊したそうです。

    すいません。直接湊山谷とは関係ない話かもしれませんが。ひょっとした谷の集落と何か繋がりがあるかもと思いました。

    ちなみにその田村という資産家なんですが、田村市郎という人であの日本水産の創始者だそうです。

    • 地元民さん おはようございます!

      そうしたいきさつがあったのですね。あの辺り。田村の崖という固有の名前まで。
      日本水産創った方がおられたというのも初耳です。
      地元の方のお話は貴重で、感謝いたします。また痕跡探しの山歩きをしてみます。

  1. MuscleTurtleさん、こんにちは。

    天王谷取水堰堤は、神戸市所管の近代水道関連遺産として
    経済産業省の近代化産業遺産(水道)に登録されていますので、
    名称は「天王谷取水堰堤」で確定かと思います。
    登録によると昭和16年竣工となっています。

    神戸市水道百年史に

    -----
    神戸市水道第一回拡張工事

    〇水源における最初の工事計画

    天王谷渓流

    天王谷水源は、地形上貯水池を設ける適地がないため、
    東服の地に取水堰堤を設けて貯水のうえ、
    976.36mのずい道と75.63mの暗渠、及び中間における
    ずい道連絡用沈でん池(梅谷)により、
    烏原貯水池へ送水するものである。
    ----

    とありますので、
    この記述の堰堤が、
    天王谷取水堰堤で間違いないと思います。

    この堰堤からの隧道、
    湊山谷西尾根のコンリート遺構の附近の地下を
    通っている可能性もありますね。
    遺構との関連も気になるところです。

    • Tokiwaさん こんばんは!

      いつもながら情報ありがとうございます。銘板があっても良さそうなものの…そういえば五本松もなかったような…見落としているだけかもしれませんが。
      そちらの資料また見てみますね。

    • isoroku
    • 2018年 11月 25日

    こんばんは。いつも楽しく驚きを持って拝見しております。
    私自身も山中の遺構や廃墟には大変関心があり、数々の探索と謎の究明にチャレンジされているこのHPは本当に興味深いです。
    兵庫区山中の現廃屋群に知人のおばあさんが過去住んでいた、という話もありますので、どのような生活であったのか、また聞いておきたいと思っています。(今回発見された立像は「鍾馗さん」ではないでしょうか?間違っていたら申し訳ありません)
    では今後も益々のご活躍を祈っております。

    • isorokuさん こんばんは!

      鍾馗さん!まさにそれですね。ありがとうございます。
      あの像があった場所は崖際のやや広い場所になっていて、お堂でもありそうな雰囲気でした。
      お知り合いのおばあさまが住まわれていたという話は大変興味深いです。
      当ブログにコメントをいただいている方は実際に住まわれいたりと色々あるものですね。
      何かしらあれば教えていただければ幸いです。

      一つ西の権太夫大神についても今度訪れてみようと思っています。
      血筋の方が記事を公開されていますのです、色々興味深いですね。

  2. kurokuwa65さん こんばんは!

    やはり気になっていましたか。烏原貯水池周りは気になるポイントですので、こちらも今後の参考にさせていただきますね。
    件の尾根はやや大げさに書いた感じですが、やばいところは賞味数メートル。
    kurokuwa65さんにはまったく問題ないと思います。

    詳細地図はこちら。
    「神戸市情報マップ」で検索後、白地図で見ることができます。

    その他山域についてはTokiwaさんのFBで紹介されています。
    https://www.facebook.com/tokiwatrekking/
    2016年11月17日の投稿分をご参照ください。

      • kurokuwa65
      • 2018年 11月 26日

      早速のマップ情報、ありがとうございます!
      これからの山行が、ますます楽しくなりそうです。

      それにしても、皆様の情報収集力というかネットワークにいつも感嘆の声をあげてしまいます。
      天王谷取水堰堤も独特デザインで、お気に入りの無名堰堤の一つでしたがこうして名前や由来が分かると更に愛着がわいてきます。

      重ねて、お礼申し上げます。

      • 本当にみなさんすごいですよね。
        助けていただいてばかりです…。

    • kurokuwa65
    • 2018年 11月 24日

    Muscleさん、こんばんは。
    破線道巡り、お疲れ様でした!
    以前から、私も気になっていた天王谷ICから220mPまでのルート、ドキドキしながら拝見しました。
    地図を見ても尾根幅は10m未満のようで、場所によっては5m未満のやせ尾根様相・・・いずれはと考えてましたが、もう行かなくてもよさそうです(私も高所恐怖症なので(笑))
    コメントを書きながらも、股間がひやひやしています・・・。
    逆に廃墟群は、かなり規模が大きそうなのでいずれは行ってみたいと思います。

    所で、皆さんが使っている詳細地図はどこで手に入るのでしょうか?良ければご教示頂けると助かります。

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