摩耶

(更新日: 2026.10.11) , , , , 4

ワーレンリッジを登る。五毛から寒谷南尾根、岩ヂャレ、サブ谷山へ Gomo, Cascade Valley, Warren’s Ridge, Sabutaniyama

山行記録を書くのは1年以上ぶりになる。これはいけない。思えば単身赴任から帰神し、赴任前から私の呼びかけで神戸に住んでくれた父の最後の世話、その後の母とのお付き合い、妻との時間。そうした時間を過ごすうちに、すっかり山歩きから遠ざかっていた。
そして体重も程よく増加⋯

2026年10月3日 土曜日。今日の山歩き、当初はほんとうに軽い気持ちだった。ある程度ワーレンリッジの目星は付けていたものの、確信が持てず。「久々に山を歩いてみるか、それに少し下見もできれば」くらいのノリ。服装も半袖・ハーフパンツという出で立ちである。※もう厳しいところを歩くこともなかろうと、必要なものはほとんど処分してしまった。


13:00 神戸市バス2系統「五毛天神」で下車。杣谷のスタートといえば六甲駅ではなくやはりここ、駕籠屋のスタート地点である。


海蔵寺を左に見ながら、東へ進み、北へ曲がる。その先はやや曲がりくねった「いかにも旧道」といった風情。このあたりから進むと長峰山、天狗塚(Doctor’s Nob)が迫ってくる感じで、西にある摩耶山はまったく意識できない。


道の右手にある五毛山口マンションの入口付近に、曰く有りげな石があった。四面確認したものの、特になにも書いていないようだ。


進んで杣谷道に入っていく。Ailion’s Ruhは大体このあたりと思われる。駕籠屋が外国人を担いでどうやってカスケードバレーを歩いていたんだろうと考えたりしながら進む。


さて、杣谷中盤の顕著な滝に来た。ここは左岸が崖状になっていて、右岸は登山道として湿ったところを登る形になっている。
駕籠屋、客はどうやって進んだんだろうと考える。いくら水害が何度かあったにせよ、ここ、道の有無そのものは、そう変わってないんじゃないかなぁ。


これまでなんの気なしに見ていた滝の下流にある大きな岩。おや?なんだか見覚えがあるような⋯
反対側から見てみることにした。


ああ、これは「半みち岩=Flat Stone」に違いない。比較画像が以下(表示されない場合はリロード)。

Before imageAfter image

ここはほぼ杣谷の中間地点になる。土台の土が流されて、一部割れているようだ。またやや前傾している。下流に向かう、左奥の道の形などもほぼ同じ。
この石について、『日本のゴルフ史』から引用すると

寫眞にある樣な平な御影石があります。ここでお客も駕屋も皆一休みしたのです。左隅の人は開祖グルーム氏の令息宮崎龜次郞氏であります。
駕屋や日本人はこの石を半みち石と云つてゐました。丁度山頂までの中間だとの意味でせう。山頂にあるグルーム氏の家から、この岩が手にとる程近くに見えます。

宮崎龜次郞氏はグルームの長男で1872年生まれ。
ところでこの場所、もうすぐ寒谷なんだど、ここまで登ってきたエリアに比べると少し肌寒く感じる。なるほど「寒谷」の由来はそういうことなんだろう。周辺はツツジの開花がやや遅かったりするみたいだし。
さて、滝を越えた先は石階段が続いていて、途中からはダムの巻き道になっている。


ダムの巻き道から進むと、「←行き止まり道標」がある。行き止まり方面へ下ると階段道の続きがある。


踏み跡があるところからダム堤内の堆砂地に降りる。摩耶第三砂防ダムは昭和61年、1986年完成のもの。まだまだ満砂には程遠い。


堆砂地から寒谷滝方面を見るが、木々が生い茂っていて、そもそも滝があるかもわかりにくい。


寒谷滝は何度撮影しても現地で見る印象と撮影した内容が一致しない。堆砂地から立ち上がるようにして聳える滝。ダム内の砂が増えるとまだまだ埋まっていきそうだ。


中段から上を見るといくつか穴があるのがわかる。今日は下見歩きだし、まぁこの辺でお茶を濁しつつ帰ろうか…と思っていたもののピストンもつまらないなと、思い始める。


半ば誘われるように寒谷南尾根末端へ。この尾根の取り付きは南にある堰堤と寒谷滝の間。スマートな感じではないし、大雨のあとはちょっと厳しい位置になる。現地に行けば「まぁ、ここからでしょ」とおそらく誰もが感じるような場所から取り付く。


右側には寒谷との間を隔てる壁があり、普通に歩けば「左に誘われる」、そんな感じ。しかしどうもつまらないなと感じて、このあと中間のリッジに移動する。


リッジといってもそこまで険しくはない感じで、進むと岩尾根上に抱きつくような2本の枯松があった。少し進みづらくなってきて、左手に下る。


下るとその左手には巨大な露岩の尾根が続いている。この露岩はえげつない⋯


基部の横幅はそれなりにあって、トラバースして南側(写真奥)を確認しようかと思うも、あまり時間がないのでやめておいた。15時を過ぎている。


今日は下見の気持ちなので、これまでネットで見ていないエリアを歩くべく、離れて、右手に見えるリッジに移動することにした。


登っていくと右手上方に、特徴的な岩が⋯
おお、これは!
『INAKA』の写真に写っていた、あの岩だ。今歩いてきたこの尾根。ここが、かつてワーレンリッジと呼ばれていた場所に違いない。


撮影角度は異なるし、現在は岩の下が大きく抜けている。それでも人物との比較から見た岩の大きさ、そして形状はほぼ同じだ。


なにか目印でもないのかな?と思い上部の岩に張り付く苔を払ってみたりしたものの、何も見当たらず。


もう少し色々調べてみようかと思ったものの、まずもってセルフビレイが必要そうだ。しかし、周辺の枝はどれも脆そう。しかも今日は半袖・ハーフパンツ⋯危ないのでやめておこう。


右手、北を見る。筋状の雲の下の小ピークが『神戸背山登山の思い出 P116』にある“ワーレンとプールの尾根がもっともよく見えるのは、天狗塚尾根の西端を過ぎて北へ曲がる白っぽい地点”だろう。
そして、この写真の北側、寒谷を挟んでやや暗く映る稜線が寒谷北尾根=それがおそらくプールのリッジ。


翻って進むと岩ヂャレのエリアになる。畳石と呼べそうな岩がいくつか。ここらあたりでつまずいてしまい、岩に足首をえぐられる⋯まぁまぁの出血。やはりちゃんとした服装で歩きましょう。


岩ヂャレの特徴的な岩。さらに進むと平坦地に至る。このあたり一帯を「サブ谷山」と呼んだのではなかろうか。


Kuroさんのいうところのベンチ岩で休憩。
予想通りといえば予想通りだったのだけれど、下見くらいのつもりで入った山で、思いのほかあっさりとワーレンリッジに出会ってしまった。もちろん、尾根そのものにはある程度目星を付けていた。しかし『INAKA』の古写真に写る特徴的な岩を、今日、自分の目の前で見ることができるとは思っていなかった。
100年以上前、ドーント、コールドウェル、ワーレンたちがこのあたりを歩き、この尾根を「Warren’s Ridge」と名付けた。その写真に写っていた岩が、今もほとんど同じ形でここに残っている。
文献や古地図を眺めながらあれこれ考えるのも面白いけれど、やはり最後は現地を歩いてみないと分からないことがある。


センサーカメラを横目に進み、山寺尾根に合流。ここからは素直に下っていく。こうした「余韻にひたりながら」気楽に歩ける帰り道が好き。


16:35 山から出た。
山行記録を書くのは1年以上ぶり。山を登り下りするのもずいぶん久しぶりだった。その山歩きで色々発見があり、出来すぎた一日だったと思う。

さて、この体重を減らすべく、また少しずつ山を歩くことにしようと思う。

Memo

応急処置ができるものは最低限持参すること。長ズボンを履きましょう。

2017年6月3日 土曜日 寒谷北尾根=Poole’s Ridgeの記録はこちら

「摩耶支脈中最難所 ワーレンリッジ」はどこなのか?『INAKA』『ペデスツリヤン』を追う。前のページ

コメント

    • shinji50
    • 2026年 10月 10日

    Halfway StoneとWarren’s Ridgeを発見されましたか。おめでとうございます。
    Warren’s Ridgeには行けそうにありませんが、Halfway Stoneはつぎ杣谷歩いたときに確認してみます。
    これからも楽しいレポート期待しています。

    • shinji50さん、こんにちは!

      Halfway Stone:座標は問題ないものの、やや小さいように見えて……。ほんまに山上から見えたんかいな……とか。
      この連休に改めて杣谷で実際に岩に座って、大きさを確かめようと思っていたのですが、足首の怪我の具合が良くなく断念しました。
      行かれたら、ザックなどを置いて比較すると、大きさが分かりやすいかと思います。

      Warren’s Ridge:「摩耶支脈中最難所」というのは、ある意味確かで、「一番崩落が進んでいる場所」のように思いました。短い距離の中で地形が複雑に入り組んでいて、あまり尾根らしさは感じられませんでした。

      最近はずっとshinji50さんのINAKAの考察を改めて拝見しています。
      あれだけのことを調べ、まとめられるまでには、相当な時間とご苦労があったのだろうと想像しています。
      私にとって、すっかりバイブルになっています。
      お話ししたいことはまだまだ尽きませんが、ひとまずこのあたりで。

        • shinji50
        • 2026年 10月 10日

        ヤマレコの日記お読みいただいてありがとうございます。
        ところで日本のゴルフ史にある半みち石の記述。僕も「グルーム氏の家から、この岩が手にとる程近くに見えます」の部分を疑問に思っていました。
        今回の記事にも引用されていたので改めて出典にあたると、「この岩」が天狗塚のことだということが分かりました。Flat staoneの項に続いて「グルーム氏の家から、..」という説明が続きますが、その間にDoctor’s Nobの見出しが挟まっています。天狗塚がグルームの家から見えたというのは自然なことですね。
        自分が思い違いをしていたので、ひょっとしてそういう投稿をどこかにしていたかもしれません。もし、お気づきでしたら教えてください。
        また。出典の画像とか必要でしたらお送りできると思います。お申し付けください。

        • あぁ、これは私の大チョンボです! shinji50さんはそんな間違いをした投稿はされていないと思います。
          手元のものを見直すと、ご指摘の通り……挟まってますね、見出しが。
          ありがとうございます!本文を修正しておきました。

          shinji50さんの見立てでは、ハーフウェイストーン(半みち石)は摩耶第三砂防ダムの少し上でしたよね。
          Sheldon’s Valleyとの位置関係を考えると、今回見つけた岩は少し下流にあるのが気になるところです。もともとこの場所にあったのか、流されてきたのか、あるいはまったく別の岩なのか……もう少し検証が必要ですね。

          それから、Sheldon’s Valleyですが、『INAKA』に写真が掲載されています。でも、あれは岩ヶ谷出合いのチョックストーン小滝にしか見えないんですよね。このあたりも、もう少し調べてみようと思っています。

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